本日の主題
数学においては「足し算」や「掛け算」などの基本的な演算に加えて「冪乗」というある種の「掛け算の繰り返しの略記」を用いることがあります。
代表的なところでは
や
などがありますね。この右上にくっついている数字のことを「指数」と呼びます。 今回はこの「指数」について深掘りしていこうと思います。
指数法則
指数法則は簡単な計算によって以下の性質を満たすことが簡単に確認できます。 以下aを0でないある数とします。
このような性質を満たす指数ですが、何も指数に入る数は「1以上の自然数」である必要はないのです。
その気になれば分数や負の数、0を入れて意味を持たせることができます。 まずは分数について考察してみましょう。
指数が分数の場合
このような表記を見ると「2の1/2乗って何だよ!」と突っ込みたくなるかも知れません。 でも冷静に考えてください。上の指数法則を使えば、以下のような計算によってこの数の正体を暴けます。
となることがわかります。 これはとりもなおさず……
と同じなのです。つまり「指数に分数を入れることは、累乗根を求める」ことに他ならないのです。もちろん指数に入る分数は何でもいいわけです。 これで指数に入る数に分数を拡張することができました。
指数が0の場合
次は「0」を入れてみましょう。aは0でないとします。 この時指数が0の数はどうなるでしょうか?具体的にaに2を代入して考察してみましょう。
ここでは指数に同じ数を入れてみましたが、指数が0になるとa(「底」と呼びます)が0でない限り、どんな数も「1」になるのです。
指数が負の数の場合
分数、0、とくれば「負の数」を入れてみたくなるでしょう。それが人間の性です。
では実際にやってみましょう。
この通り、指数に負の数が入ると「分数になる」のです。特に指数が「-1」の場合、その数(0でない必要はある)の逆数になります。 写像fの逆写像の表記に、fの右上に「-1」が書いてあるのはこれが由来でしょうか?
まとめ
今回の場合指数には「有理数」のみを入れることとしましたが、指数が有理数の範囲ではその計算結果は必ずある数に等しくなることがわかりました。
楽しいですね。ありがとうございました。
おまけ
「じゃあ0の0乗はどうなるの?」という質問が飛んできそうです。これに関しては「定まらない」とする立場と「1とする」立場の2つがあります。
「定まらない」とする立場ではこの関数の(x,y)=(0,0)周辺の挙動を調べる必要があります。グラフはプロッティングできなかったので掲載しませんが、この関数は原点周りで近づいていく値によって値がいくらでも変わる(一意に定まらない)のです。
反対に「1になる」とする立場では集合論的に考えることで得られる考えです。
という事実があります。これはXからYへの写像の場合の数はYの濃度にXの濃度を累乗することで与えられることからきています。
そこでXとYに空集合∅を置くことで、空集合から空集合への「空写像」を得ることができ、00=1を得ることができます。
そういうことで、00=1とする立場も存在するのです。
終わりに
今回は「指数」に関する話題に絞りました。本当は書きたいことがもっとたくさんあったんですが、TeX記法に慣れていないのでここまでとします。
もし間違いなどがあればコメント欄にお願いします。